
こんばんは。くまごろうです。
今回はウェイン・ゴーマン氏、ジェフリー・ケネディ氏の「図解 エリオット波動トレード」です。
訳者はエリオット波動研究所代表理事の有川和幸氏、同理事の小泉秀希氏です。
以下は、本書の記載内容を私が独自に分類しましたので、ご参考にお使い下さい。

なお、過不足がある場合もあり得ますので、あくまでご参考まで。
エリオット波動とは
まずは以下の図をご覧下さい。

これはエリオット波動の基本構造を表した図になります。
エリオット波動はざっくりと
- 推進波:強気相場を表す。1~5波動で構成。
- 修正波:弱気相場を表す。A~C波動で構成。
に分けることができます。
また、波動はフラクタル構造となっており、分解していくと小さな波動の集合体となっています。

緑色の波動が大きな波動で赤色、青色の波動が一回り小さい波動を表しています。
印象に残った文章
ここからは、本書を読んでみて印象に残った文章と、その文章に対しての感想なんかを書いています。
なお、本書を読むまで秘密のままにしたいという方は、ここで一旦引き返していただければと思います。
ここでとても重要なことを述べる――3波、5波、A波、C波はトレードに最も適している。なぜなら、これらの波はひと回り大きなトレンドの方向と同じ方向に動くからだ。強気相場でショートポジションを取ったり、弱気相場でロングポジションを取るトレーダーではなく、強気相場でロングポジションを取っているトレーダー、あるいは弱気相場でショートポジションを取っているトレーダーこそ勝機に恵まれる。多くの場合、トレンドの方向にトレードすることこそ最も困難が少ない道なのだ。
対象として、弱気相場の起点となるA波を含んでいるのに強気相場の1波を含んでいないのは釈然としませんでしたが、トレンドに沿ったトレードを意識するのは非常に重要です。
私の投資スタイルとしてはトレンドフォローがメインですが、実は戦略としてこの考え方を取り込んでおり、エリオット波動でいうところの3波の始めや5波の始めの転換点、また3波が1波の終点を上抜いた時などの転換点を捉えるようなトレードを心掛けています。
実際問題として、どこからどこまでが1波でどこからどこまでが3波なのかは結果論になることが多いですが、考え方として無駄な取引をせずトレンドに沿った効率の良いトレードをするという考え方は、取引コストを抑えることに加え、ポジションを持つことによるリスクも抑えられるため、意識していきたいですね。
トレーダーとして最も有益な習慣は、「価格がここまできたら、自分が想定した波動のカウントが破たんしてしまう」というポイントにプロテクティブストップを置くということだ。
こちらもトレードをする上で非常に重要な考え方で、トレードをする前には必ず自分が負けを認めるラインを決めておかなければなりません。
ちなみに取得価格から10%下落したらロスカット(損切り)をしようという話をよく耳にしますが、これはリスク管理の点からは悪くない考え方ですし、初心者であればとりあえずの目安として設けるのは良いと思います。
ただ、取得価格というのはマーケットからすれば全く関係のない価格であり、ロスカットをする価格というのは、自分自身の戦略が想定通りではないと判断せざるを得ない価格でするべきかと思います。
そのため、私自身の考え方としては、取得価格基準ではなく、直近安値やサポートラインとみられる価格水準付近にロスカットラインを置くことをオススメします。
例えば、取得価格1,000円、直近安値が950円だったとします。
この場合、単純に取得価格-10%の900円をロスカットラインと定めることもできますが、直近安値の950円だったり、直近安値-1%の940円にロスカットラインを設定することもでき、後者であればリスクをより抑えたトレードをすることができます。
あくまで一つの考え方にはなりますが、私自身は一つの取引で10%分のリスクを取るよりも、5%分のリスクで2回の取引をした方が
- 5%の損失であれば、すぐに取り戻せる水準であること
- また、試行回数が増やせること
という理由から、後者のようなリスクの取り方を実践しています。
ポジションを取ったあとにトレーダーに求められる優先事項は、まずリスクを減らし、次にリスクをゼロにし、最後に利益を確保する、であることを思い出してほしい。
私自身のトレードとして、一時的に利益は出ていたものの結果としてマイナスで終わってしまったものが数多くあるので、自戒の意味を込めてこちらを挙げました。
リスクのコントールというのは非常に難しく、初めのロスカットラインを厳しくし過ぎると、頻繁に撤退することとなり意味をなさないトレードとなってしまいます。
また、プラスになった直後にロスカットラインを損益ゼロの水準にした場合も、同様に頻繁にロスカットラインに割ってしまう恐れがあるため、ある程度価格が動く余裕を持たせつつ、なるべく利益を伸ばせるようリスクをコントロールすることが重要なのです。
私自身、「リスクを減らす」ことに焦点を当ててトレードの改善をしてきましたが、「リスクをゼロにする」ことに焦点を当てて、更なるトレードの改善に励みたいと思います。
私がシティバンクでトレーディングをしていた時、マーケットがどっちに向かうか知っているよと誰かが言ってきた際にはいつも、「『何がどうなるか』ではなく、『いつ!』なのかを教えてくれ」と冗談めかして言い返していた。エントリーとエグジットの時間をはかるという観点から、重要なのは価格が動きだすのが“いつ”なのかを知ることだと認識していた。
この会社は将来的に伸びると思い、いざ投資をしてみたものの思うように上がらず撤退し、その後、株価がするすると上昇していく場面に出くわすことは、ある程度の投資経験を積まれた方であればよくあることかなと思います。
この事例の通り、投資対象の株価が上がるだろうという予測は当たったとしても、「いつ」上がるかを見定めた上で株を購入し、その後上がるまでその株を持ち続けるというのは実に難しいのです。
また、投資対象の企業に特段のニュースがなくても、関連業種やマーケット全体の動き、また為替や外国のマーケットなど、様々な要因に株価というものは変動するため、なおさら「いつ」上がるかを見定めることは困難を伴います。
この「いつ」というのは「カタリスト」とも言われています。
カタリストというのは、株価が直近の高値を更新したり、サプライズの上方修正や法改正だったりと様々な要因がありますが、ざっくりまとめると株価を動かすきっかけのことをいいます。
カタリストとは少しニュアンスが違うかもしれませんが、エリオット波動理論は投資対象の価格が「いつ」動き始め、「いつ」転換するのかを検知しようとする試みになります。
おわりに
本書は題名に「図解」という言葉がある通り、チャートを示しながら、実際にエリオット波動理論を用いての解説が多かったため、ここでは紹介することができませんでした。
ちなみに図解の解説の仕方としては、
「〇月×日時点のチャートを見ると、AパターンであればX%の上昇が見込め、BパターンであってもY%の損失で抑えられることができるため、リスクリワードの観点から、このタイミングでエントリーする」
「△月□日時点のチャートを見ると、CパターンであればZ%の上昇が見込め、DパターンであればさらにW%の上昇が見込めるため、大きめのロットでエントリーする」
といったように、リスクとリターンを意識しながらの解説であるため、エリオット波動理論に馴染みのない方でも、実例を通してリスク管理の考え方を学ぶことができます。
また、章の終わりごとに簡単な問題が出題されるため、復習をしながらエリオット波動理論を学ぶことができます。
ちなみに、ここまで色々と書き連ねてきましたが、私自身、エリオット波動理論の知識や見識はほとんどなく、どちらかというと懐疑的な見方をしていました。
ただ、エリオット波動理論が今日でもトップレベルのトレーダーが活用しているという実態を踏まえると、エリオット波動理論を用いることで常にリスクリターンを意識したトレードを行うことができ、その結果、非常に高いパフォーマンスを出すことができるのではないか、との考えに至ることができました。
エリオット波動理論自体はトランケーションやエクステンションといった例外ケースのようなものがあり、また時間軸の取り方や個々人のチャートの見方によって様々な解釈ができるため、実際のトレードでの活用は非常に難易度の高いものになると思います。
一方でリスク管理の仕方については学ぶことが非常に多かったため、「実際のトレードでどのような判断をしポジションを取っていけばいいか」「どうやってリスクを抑えたトレードをすればいいか」など、お悩みの方は本書をお手に取ってはいかがでしょうか。
おまけ
ポジションサイズや資金管理戦略について私が最も影響を受けた本で、私自身のポジションの扱い方についても記載していますので、ご参考まで。
個人投資家時代に読んだオススメ本なども紹介していますので、こちらもご参考まで。
投資やトレードには読書によるインプットが重要です。
その読書に当たっての私自身の読書術なんかも紹介していますので、こちらもご参考まで。
コメント