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ラリー・ウィリアムズの短期売買法

まじめなこと
くまごろう
くまごろう

こんばんは。くまごろうです。

今回はラリー・ウィリアムズ氏の「ラリー・ウィリアムズの短期売買法」です。

監修者は長尾慎太郎氏、訳者は山下恵美子氏です。

以下は、本書の記載内容を私が独自に分類しましたので、ご参考にお使い下さい。

本書はトレーダーなら知らない人はいないであろうラリー・ウィリアムズ氏の最高傑作です。

ラリー・ウィリアムズ氏といえば、先物のロビンズ・ワールドカップ・チャンピオンシップにおいて、った1年で1万ドルを110万ドルまで増加させた超人的なトレーダーです。

1年間で+10,000%超という記録は今なお破られておらず、あまりのパフォーマンスの高さに不正取引を疑われ捜査されたほどだったとのことでした。

また、ウィリアムズ氏といえば「マーケットの魔術師 システムトレーダー編」でも掲載されている、近年のシステムトレーディングの第一人者とも言われる人物で、本書「ラリー・ウィリアムズの短期売買法」はそんな伝説的なトレーダーであるウィリアムズ氏自身が書いた最高傑作です。

本書ではウィリアムズ氏の手法の一部やリスク管理法が惜しげもなく紹介されており、ここまでのことを本に書いてしまってもいいものかと思わず問いかけてしまいたいほどです。

例えば、何曜日にトレードをすべきかという仮説に対して、過去のデータをもとに勝利や総損益のシミュレーション結果を提示し、それをもとに解説してくれるため、どういったプロセスを経てシステムトレードの戦略を練っていくかを疑似体験することができます。

また本書には随所にウィリアムズ氏の名言がちりばめられており、これがまた身に染みるものばかりで、こういった哲学を持つウィリアムズ氏だからこそトレードの世界で大きな成功を掴めたのだろうと頷かざるを得ません。

印象に残った文章

ここからは、本書を読んでみて印象に残った文章と、その文章に対しての感想なんかを書いています。

なお、本書を読むまで秘密のままにしたいという方は、ここで一旦引き返していただければと思います。

成功したトレーダーは口をそろえて言う。自分たちが成功したのは、無数のインディケーターを使うのをやめ、何台ものモニターを見るのをやめ、ホットな5銘柄を毎晩追いかけるのをやめてからだと。「シンプルこそが成功の秘訣」なのである。

これは本当にその通りで、自分自身も投資を始めたての頃は、様々なチャートやインジケーターを使い一人トレーダー気分を味わって悦に浸っていましたが、経験を積むに連れて基本的には「価格」と「出来高」に焦点を合わせていくようになりました。

というのも様々なチャートやインジケーターというのは結局のところ価格や出来高を様々な方法で加工して表現しているに過ぎないからです。

また何台ものモニターを見たり話題の銘柄をせわしなく追っていくことは、観察する対象が増えてしまうことで焦点が定まらず、多大なエネルギーを使うにも関わらず結果が伸び悩んでしまいがちです。

もちろん幅広い視野や角度で分析していくことを否定するものではなく、ここでは瞬間瞬間で判断をしながらポジションを立てていくことに言及しています。

話が長くなりましたが、マーケットにおいて重要なものはシンプルに「価格」「出来高」であるということは忘れずにいたいものです。

トレーディングを始めて30年、私だってまだ市場のことはすべて分かっているわけではない。月並みな言い方かもしれないが、私だっていまだにヘマをやらかすし、自分がいかに分かっていないかを思い知らされる毎日だ……どんなに勉強しても市場は永遠の謎のように思えるし、学び直さなければならないこともたくさんあると思っている。勉強、そしてまた勉強の繰り返しだ。

私自身もマーケットの世界に足を踏み入れ10年超になりますが、マーケットについては今なお驚かされることばかりで、その都度マーケットに対して畏敬の念を抱きます。

個人的に特に印象的だったのが、米国の雇用統計の発表に関するマーケットの反応です。

通常であれば、雇用統計の数値が良い→景気が良い→株価にはプラスなのですが、

金融緩和中では、雇用統計の数値が良い→景気が良い→金融緩和の必要性低下→株価にはマイナス

といった連想で定石が通用しなかったことです。

当時、為替や先物の動きが全く理屈の通らない値動きに見えたのですが、振り返ってみると上記の理由をマーケットが先取りしていたのです。

それ以来、とにかくマーケットが正なのだ、と強く確信を抱きました。

ところで、現在はマーケットに深く携わっていく機関投資家という立場にいますが、日々とてつもない量のインプットを求められます。

しかし、ある先輩職員からは「この業界は常に勉強してないといけないからね~」と笑顔で言われ、マーケットに対峙する以上、これくらいの余裕を持ち、ある種楽しみながらマーケットに臨んでいこうと思ったのはいいきっかけでした。

このビジネスで確実なことは2つしかない――①しっかりとした損失管理が必要、②価格を予測することは不可能。システム開発の目的は、石油がわき出る油井のように、絶えることなく利益を生みだし続ける究極のマシンを作りだすことである。もちろんこんなマシンを作ることは不可能かもしれないが、システム開発を通じて正しいトレーディングについて驚くほど多くのことを学ぶことができる。

機関投資家として、まず最初に教わったのは、リスク管理(損失管理)の重要性です。

投資というとまずはどのくらい儲けるといったリターンについて考えがちですが、実際の現場ではリターンを得るためのリスクとしてどのくらいの損失を覚悟しているのか、そしてそのリスクに対して自分自身はどう考え、その結果どのくらいのポジションを立てるのか、といったように必ずリスクから考えるよう指摘されます。

またリスクを取る(ポジションを立てる)際には、流動性を踏まえたヘッジの有無や、他に付随するリスクがないかについて意見を戦わせた上で、ポジションを立てます。

当たり前といえば当たり前かもしれませんが、機関投資家はそのくらいリスク管理に対してシビアで、基本的には裁量での取引であるとはいえ、その内実は極めてシステムトレードに近いのが実態です。

それもそのはずで、基本的には他人資本の運用を行っているため、そこには説明責任(なぜそのポジション、なぜそのタイミング、なぜその量など)があるからです。

個人投資家時代には、銘柄選定や、ポジションを取る量、ポジションを取った後に損益を確定するタイミングといったことをあらかじめ決めた取引をしており、ある種システムトレード的なことをしていました。

最初は手探りで自分なりのシステム(ルール)を開発(策定)していきましたが、そういった試行錯誤を通じて得た経験は驚くほど多く、そういった経験があったからこそ個人投資家から機関投資家へ転職することができたのだと思います。

それほど、システム開発(ルール策定)は多くのことを学ばせてくれるので、これからマーケットに参戦する方には、必ず経験してもらえると良いかなと思います。

車で道路を走っていたら、トラックがあなたの車線を真正面から向かってくる。あなたはそのまま同じ車線を走り続けるか、それとも車の走っていない反対車線に急ハンドルを切るだろうか。交通ルールを守ろうとするならば、反対車線には入ってはならない。システムでは反対車線には入ってはならないのだ。しかし、現実には18輪の大型トラックがあなたの車線に真正面から向かってきているのだ。安全運転のルールは絶対に守るべきなのか、それとも目の前の状況に応じた行動を取るべきなのだろうか。生き残れるかどうかは適応能力次第なのだ。 道路でも、市場でも、今起こっていることこそがルールなのである。

「道路でも、市場でも、今起こっていることこそがルールなのである。」

事例がとても分かりやすく、これほどトレードの難しさを端的に表した表現はないかと思います。

システムトレードとは、過去の価格変動のパターンを検証した上で、期待値の高い場所で機械的に取引を繰り返していくというトレード手法ですが、過去の価格変動が正であるというを前提としているため、過去に例がない価格変動が継続した際には非常に脆弱です。

システムトレードで本格的にマーケットに参入する場合には、取引ごとにおける損失管理、リスク管理はもちろんのこと、複数の戦略を組み合わせることでドローダウンを極小化したり、戦略単位でのロスカット(どうなったら戦略の稼働を停止するか)の基準を設けたりと考慮することは非常に多く、そもそも完全なシステムを作ることはできません。

結局のところ、システムトレードとはいえども、システムを作っているのは生身の人間ですし、マーケットというのは人間たちの希望や絶望などのあらゆる感情を反映させた集合体ですので、同じことは二度と起こりません。

また同様に過去に繰り返されていたことが今後も繰り返されるとも限らず、まさに今起こっていることこそがルールなのです。

とはいえ、そういったマーケットに対峙しトレードで稼いでいこうと思うのであれば、マーケットに対して謙虚になり、マーケットに対して順応していくことが重要なのはいうまでもありません。

成功は絶えず学習し実行することによって成しえるものであり、生まれながらの本能から生まれるものではない。

エジソンの名言である「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」に通ずるものを感じます。

やはりマーケットで生き残っていくには、常に学習し続けることが重要ということです。

もちろん学習し続ければ必ず勝てるかと言われれば決してそうではなく、まず生き残るための必要な条件として学習し続けるということが挙げられます。

マーケットで生き残って、なおかつ勝つための条件として十分なものということはありませんが、私のつたない経験からいうと、自分自身が興味・関心があるといった熱量を持てるものであったり、得意な分野であったりといった自分自身のエッジを伸ばしていくことが、数ある答えの中の一つではないかと思います。

何かを継続するというのは、実はかなりの精神力を伴います。

例えば、私自身の例でいえば、学生時代に趣味のドラムで複数のバンドを掛け持ちしていた時のことです。

趣味のドラムとはいえ、いくつものバンドを掛け持ちして何十曲もの曲を覚えたり、毎日のようにスタジオに通っているうちに段々とナーバスな気持ちになり、しまいには周囲に対して攻撃的な態度(なぜ間違える?なぜ覚えられない?など…)を取るようになってしまいました。

このエピソードからもわかる通り、好きなもの・得意なものでさえ集中力を高く保って継続するのにはかなりのエネルギーを使います。

好きでない・得意でないものであれば、継続するのはなおさら難しいのは言うまでもありません。

であれば、まずは継続できるくらい好きなもの・得意なものといったエッジを見つけることを考えていきましょう。

幸運にも自分自身のエッジを見つけることができたのであれば、まずはシンプルに(私自身の例でいえば複数のバンドを掛け持ちすることなく)エッジを磨いていくことに集中していくと良いと思います。

おわりに

もっと紹介したい文章はたくさんあるのですが、私のつたない文章では上手く表現しきれないことや、本書で紹介されている分析結果なども踏まえてから読むと、また刺さる文章もあると思いますので、今回はこの辺りにしたいと思います。

ラリー・ウィリアムズという伝説的なトレーダー自らが書いた本書をぜひ体感してみてはいかがでしょう。

おまけ

ポジションサイズや資金管理戦略について私が最も影響を受けた本で、私自身の事例も記載しています。

個人投資家時代に読んだオススメ本なども紹介していますので、こちらもご参考まで。

投資やトレードには読書によるインプットが重要です。

その読書に当たっての私自身の読書術なんかも紹介しています。

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