こんばんは。くまごろうです。
私は大学時代に株取引を始めて個人投資家として10年ほど経過した後、機関投資家に転職しました。
今回は、個人投資家、機関投資家それぞれを経験した私が「機関投資家に向く人、専業投資家に向く人」について、私なりの考えをお伝えしていきたいと思います。
なお、今回は専業投資家と個人投資家を分けながら記載していますが、ほぼ同義として読んでいただければと思います。
まずは次の表をご覧ください。
機関投資家 | 専業投資家 | |
---|---|---|
① 情報量 | ◎ | 〇 |
② 信用力 | ◎ | △ |
③ お金への関心 | 〇 | ◎ |
④ 自由度 | △ | ◎ |
こちらは、機関投資家、専業投資家の特徴について4つの観点で私なりに分類した表になります。
結論から申し上げますと、投資に関するあらゆる情報に触れマーケット好きな人たちと働きたいなら機関投資家、時間や場所に左右されず自分の好きなように投資したい人は専業投資家が向いてるといえます。
次からは、先に分類した4つの観点について私なりに解説していきます。
① 情報量
最近では、個人投資家でも機関投資家顔負けのトレーディングツールやSNSの活用により投資環境は劇的に良くなり、個人投資家と機関投資家の垣根は低くなってきたと言われています。
しかし、実際に個人投資家から機関投資家となってみて感じたのは、機関投資家の得られる情報は質・量ともに個人投資家を圧倒するものでした。
便利すぎるBloomberg
まず機関投資家になるとほとんどの場合、Bloombergという金融情報サービスを利用することになりますが、このBloombergの利便性がこの上なく高いのです。
具体的には、
- データの種類・量が豊富
- 国内外の様々な情報を一元管理できる
- 様々なデータの加工が瞬時にできる
です。
データの種類・量が豊富
株価や金利のデータはもちろんのこと、コモディティであれば地域ごとの価格、またスプレッド、各種統計の予実ごとのヒストリカルデータなど、とにかくあらゆるデータが整備されています。
今では個人投資家でも多様なデータを収集することができますが、様々なサイトにアクセスしたり、特定の年数までのデータしか取得できなかったりと、それなりの労力を要します。
しかし、Bloombergには思いつく限りのほとんどのデータが揃っているため、情報収集の面においては個人投資家を圧倒しています。
国内外の様々な情報を一元管理できる
証券会社のトレーディングツールや日経新聞などの各種メディアを使えば、個人投資家でも様々な情報を収集できますが、Bloombergを使うとソースや抽出条件を細かくカスタマイズすることができます。
そのため、自分の欲しい情報をピンポイントでかつ網羅的に収集することができ、情報収集のための労力を大幅に削減することができます。
様々なデータの加工が瞬時にできる
Bloombergを使うことで様々な情報を取得できることが分かっていただけたかと思いますが、これらのデータの加工が瞬時に行えるのがBloombergの最大の特徴ではないかと思います。
例えば、日経平均とダウの関係性を調べたくなったとします。
Bloombergを用いることで、たった数クリックで2つのチャートをまとめて表示することができ、スプレッドや比率、相関なんかも併せて表示させることができます。
ドル円やFF金利を追加で表示させたり、日足、月足、年足など時間軸も瞬時に変えることができ、またシーズナリティの機能を使うことで、日経平均は何月に何%上下するのがといった季節性も瞬時に確認することができます。
各種レポートが読み放題
エコノミストやアナリストが書いた各種レポートにアクセスできるというのも機関投資家の大きな利点です。
最近は様々な業界の専門家がTwitterなどのSNSを使って情報発信をすることも多くなってきたため、個人投資家であっても取捨選択を上手く行えば、質の高い情報を取得することももちろんできます。
しかし、その道の専門家がお金をもらって仕事として書いた各種レポートは、基本的には裏付けが取れているため、一次ソースに当たる必要がなく、調査の時間を大幅に節約することができます。
しかも、それらレポートはとにかく読んでもらうことが重要なため、題名や書き出し、要約部分に投資のヒントになるようなキーワードやエッセンスが散りばめられていることが多く、それらに目を通すだけでも、様々なアイデアが溢れてきます。
周囲の社員もマーケット好き
当たり前といえば当たり前ですが、周囲の社員はマーケット好きであり、かつBloombergや各種レポートを読んだ上での独自の相場観を持っています。
そのため、自分では気づかなかった点や、新しい投資のアイデアを持っていることが多く、マーケットに対する意見を交換し合うことで、自身の投資のアイデアがより質の高いものになっていきます。
② 信用力
業務として資産運用に従事する機関投資家という職業は誰でもなれる訳ではありません。
学歴でいえば国立大や早慶卒に加えて、例えば以下のような資格やスキルを持っている必要があります。
- 証券アナリスト資格
- TOEIC800点以上
- プログラミングスキル
こういった要件を満たすには相応の労力を要するため、待遇面や社会的信用力は必然的に高くなります。
そういった信用力を活用して不動産投資をされる方もいます。
今でこそFIREという言葉をよく耳にするようになり専業投資家に対する世間の目も変化してきましたが、資金調達力という意味での信用力という観点では機関投資家として企業に属している方が高いといえます。
もちろん専業投資家であっても複数年分の納税証明書などで継続的に収入を出してることや、不動産を担保に入れることで資金調達をすることはできるとは可能ですが、それなりの労力を要することは間違いないでしょう。
また一度専業投資家となってしまうと、再就職する(信用力を高める)ハードルは高くなってしまうので要注意です。
③ お金への関心
機関投資家という職業上マーケットに対峙し、お金を増やすことが使命であるため、世間一般の方から見ればお金への関心は高いといえます。
実際、私の周りには不動産投資をしている方や財テクに詳しい方が多くいますが、一方で過去に優れたパフォーマンスを出された方や鋭い相場観を持たれている方はお金自体への関心はあまりないように見受けられます。
話を聞いてみると、マーケットに関われることが何よりも楽しく、機関投資家としての待遇も悪くないため、個人での資産運用には特段興味がないとのことでした。
むしろ個人での資産運用に時間を使うくらいなら、1つでも多くのチャートやレポートを読み込むことで機関投資家としてのパフォーマンスを向上させたいという気持ちが強いようです。
一方、専業投資家であれば運用パフォーマンスの良し悪しが生活に直結するため、否が応でもお金への関心は高くなります。
また専業投資家の方はマーケットへの関心もさることながら、純粋にお金を増やすことが楽しいと思っている方が多い印象です。
自分としては自分自身のお金を増やすことにも興味はありつつも、機関投資家として半人前なので、まずは機関投資家として一人前になるよう個人で資産運用はほどほどにしたいと思います。
④ 自由度
ここでの自由度は2つあって、1つ目は資産運用に伴う制約の有無という意味での自由度です。
そして2つ目は時間や場所の拘束の有無という意味での自由度です。
個人投資家から機関投資家に転職してみて、上述した通り良い面はもちろん多かったのですが、これら2つの自由度のデメリットはかなり大きかったというのが正直なところです。
機関投資家としての制約
機関投資家としての資産運用は規制や流動性の観点など制約事項となるものが多く、個人での資産運用と比べると自由度は極端に落ちます。
また手続き的な面でも個人投資家の方よりも煩雑なものが多い印象です。
例えば、個人投資家の方だとあまり意識しないような、先物のロールや現物の5%超の保有ルールなどです。
また職業として資産運用を行っているため、基本的にはポジションを取ることが推奨されます。
そのため、相応のプレッシャーの下でマーケットに対峙する必要があり、思いの外精神力を試されます。
その他にも週次、月次、四半期、年次での事務的な対応等もあるため、機関投資家=サラリーマン投資家であることを強く実感します。
時間や場所の拘束
コロナ禍を経てテレワークをする環境が整備されてきましたが、とはいえある程度出社する必要があったり、各種打合せへの参加など、サラリーマン特有の拘束時間は相応にあります。
もちろん各種打合せへの参加などから、投資アイデアが浮かぶことはあるのですが、やはり自分だけの時間というものへの欲求は高まってしまいます。
まあ隣の芝生は青いというやつですね 笑
おわりに
身も蓋もない話ですが、個人投資家と機関投資家を経験した自分としては、どちらもそれぞれの良さがあるというのに尽きると思います。
冒頭でも触れましたが、投資に関するあらゆる情報に触れマーケット好きな人たちと働きたいなら機関投資家、時間や場所に左右されず自分の好きなように投資したい人は専業投資家が向いてるというのが、1つの判断軸になるかと思います。
機関投資家への就職や転職活動をされる方、また専業投資家を目指している方に少しでもお役に立てれば幸いです。
個人投資家時代に読んだオススメ本なども紹介していますので、こちらもご参考まで。
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